静かな夜の10:30。
あなたは今夜も、アマチュア無線で天体観測をしています。
スピーカーから聞こえる「ザーッ」というホワイトノイズ(雑音のような音)。
ふと、上空に「流星」が現れると、電波が流星に反射して高い音が聞こえます。
「ポーーーン・・・」
いわゆる「流星エコー」。
一度聞くと忘れない、印象的な音です。
一般に、宇宙の恒星や惑星などは様々な電波を発していて、この観測で木星や太陽の電波もキャッチすることができるのです。
こうして観測していると、あなたは宇宙の果てしない深さや、自分が地球という惑星にいることを実感します
仕事のことも、日常の事も、小さな悩み事も忘れてしまう、特別な時間です。
photoAC
・・・と、その時。
いつもと違う音が聞こえてきました。
これまでの天体の電波とは違う、非常に強く、連続した電波です。
波形を見ると、明らかに「規則的なパターン」です。
これは何だろう?
自然界ではありえない電波だ。
まさか、地球外知的生命体のシグナルをキャッチしてしまったのか?
そうだとするとすごいぞ!
あなたの鼓動が、一気に速くなってきました。
すごいけど・・・
これはいったい、どう対処したらよいのだろう。
どこかに報告するべきなのか?
こんなことが起こるとは、思ってもみなかった。
落ち着け落ち着け。
まず、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に連絡してみるか(したことないけど)。
いや、もう受付時間が終わっているかな。
翻訳ソフトを使って英文を書き、NASAにメールしてみるか。
うーん、きっとうまく書けないな ( ̄▽ ̄;)
SNSに投稿して、他人の反応を見てみるか?
いやいや、それでは主体性がなさすぎる・・・(T▽T)
でも、よく考えたら、これは 異星人の電波とは言い切れないんじゃないか?
人工衛星や、電波実験か何かの影響かもしれない。
それに、もし本物の宇宙からのメッセージだとしたら、どこかの大望遠鏡でキャッチされていて、既に報告がなされているはずだ。
記録だけして、寝てしまうか・・・。
そうして躊躇している間も、「人工的な電波」の音は誰かの返事を待つかのように、依然として強く鳴り続いています・・・。
(天体観測に詳しい方。観測の方法などに誤解があれば、ご容赦ください m(_ _)m)
宇宙人とコンタクトしたときの対処法
もしも、あなたが宇宙の知的生命体とコンタクトしたら、いったいどう対処すればよいのでしょうか?
実は、その方法は、国際宇宙航行アカデミー(IAA)という機関で、世界的なルールとして規定されているのです。
それによると、「宇宙人からのメッセージ」の第一発見者は、最初に公表を行う権利を持つとともに、次のような行動を求められます。
興味のある人は、よく見てください(・_・)
発見者は
「すみやかに研究者や研究機関、国家当局にデータを提供して、他の望遠鏡を使って地球外生命体の存在の信憑性を確かめること」
そして
「確実に地球外生命体からのコンタクトだと考えられる場合、国際天文学連合(IAU)と国連の事務総長に(専用の連絡フォームで)連絡をする」
さらに
「国際科学会議(ICSU)など、指定された世界の各機関にも連絡を入れる」
・・・ということです。
いや、しかし・・・
「国家当局に提供」「世界の各機関に連絡」って、アメリカのアクションドラマじゃないんだから・・・( ̄▽ ̄;)
一般人には、こんな報告はなかなかできませんよね 。
まず僕は、連絡のための英語ができません (^-^;)
(以下、小説や映画などの完全なネタバレを含みますので、ご了承ください)
火星人の来襲
人はこれまで、ずっと宇宙の知的生命体との遭遇を想像してきました。
宇宙人にまつわる小説や映画などは、数限りなく存在します。
例えば、地球を侵略しようとする宇宙人と人類との戦い。
例えば、宇宙の彼方の知的な存在から人類がメッセージをもらう話。
その時代や作者の視点によって、実にさまざまな物語があります。
古典的な代表作に、H・G・ウェルズの小説「宇宙戦争(1898年)」があります。
この小説は、2度にわたって映画化されました。
原題は「The War of the Worlds」
ここでは「2つの世界同士の戦争」という意味のようです。
「宇宙戦争」では、火星人が地球にやってきて人類を滅ぼそうとします。
正体不明の熱線を放ち、人も動物も建物も何もかも破壊しまくります。
火星人との対話の余地はなく、圧倒的な攻撃を受けて、人類は滅亡に向かっていきます。
ところが、物語のラストで、火星人は意外なことで全滅してしまうのです。
一体、何が彼らを倒したのか?
それは、地球に存在する「病原菌」でした。
人類とは違って、火星人は、地球の「病原菌」に対する免疫がなかった。
だから、地球にやってきた瞬間から彼らは死を迎える運命だった、というわけです。
この場合、人類は「地球」に救われたと言えるのでしょうか。
この物語の「火星人」とは、「侵略してくる武力」の象徴だったのかもしれません。
ところで、この「宇宙戦争」について現実に起こった驚くべきエピソードがあります。
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臨時ニュース、地球侵略のとき
1938年10月30日、アメリカのラジオで、あるドラマが放送されました。
「宇宙戦争」をラジオドラマ化したものでした。
このドラマの演出、そして演技者は、のちに映画監督の巨匠となるオーソン・ウェルズです。
このラジオドラマは、それまでにない斬新な手法で放送されました。
今まさに、地球で火星人の侵略が行なわれていて、「臨時ニュース」としてそれを放送している!という設定だったのです。
その巧みな演出と迫真の演技によって、リスナーの多くは本当に火星人の侵略が起こっていると信じてしまいました。
信じた人々はパニックを起こし、全国の警察に膨大な量の問合せ電話があったといいます。
番組の開始直後と終了間際に「これはフィクションです」という「お断り」が流れたようですが、人々は聞きそびれてしまったのかもしれません。
そして、何よりもオーソン・ウェルズの演出と演技が卓越していたのでしょう。
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このとき、時代は第二次世界大戦前夜。
ドイツや日本の台頭があり、世界的に緊張や不安が高まっていました。
こうした環境下で、人々はよりリアルに、この地球侵略のドラマをとらえたのかもしれません。
小説や映画、ドラマというものは、そのときの人間の心理を反映しやすいものなのかもしれませんね。
友好的な宇宙人との出会い
「宇宙戦争」以降、宇宙人に対するイメージは様々なバリエーションを持ち、「人類を攻撃する宇宙人」ばかりではなく、「純粋な宇宙人と人類との出会い」を描いた物語も現れました。
「宇宙戦争」から79年後。
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「未知との遭遇」(1977年)は、実際の空飛ぶ円盤の目撃例を元にしたかのようなリアルな円盤の登場と、極めて真摯で純粋な宇宙人との遭遇を描きました。
原題は「Close Encounters of the Third Kind」
「第三種接近遭遇」と訳します。
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この呼び名は、天文学者であり、アメリカ空軍とのUFO調査計画に加わったジョーゼフ・アレン・ハイネック博士による、分類の名称です。
「第一種接近遭遇」
約150メートル以下の近さから、空飛ぶ円盤(未確認飛行物体)を目撃すること。
「第二種接近遭遇」
空飛ぶ円盤が、周囲に何かしらの影響を与えること。
例えば、地面に残した跡、人や動物への体感的な影響、電子機器への影響など。
そして「第三種接近遭遇」は
空飛ぶ円盤の搭乗員と接触すること。
つまり、「宇宙人との接触」です。
これは本当の話ですが、映画「未知との遭遇」が日本の劇場で公開された当時、大変な話題を呼びました。
「立ち見」を含む超満員の観客が、宇宙人との接近遭遇を見ようと劇場に溢れかえっていました(今は「立ち見」はないでしょうが)。
物語のラストで、宇宙人と人類が手話でコミュニケーションをとるシーンがあるのですが、そのあまりの純粋な描き方に、感動で涙をすする観客がいました。
当時少年だった僕も、涙がじんわりと溢れてきたのを覚えています。
「We Are Not Alone」
(宇宙にいるのはわれわれだけではない)
これが「未知との遭遇」のキャッチコピーでした。
果たして、この宇宙に、人類に好意的な宇宙人がいるのかどうかわかりませんが、我々の多くは、宇宙の知的存在との友好的な出会いを望んでいるのではないでしょうか。
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なぜ、まだ宇宙人と出会っていないのか?
ところで、地球人はなぜ、まだ宇宙人と出会っていないのでしょうか?
出会っているという人もいますが、誰にでもわかる明確な「証拠」はおそらくまだないでしょう。
宇宙が誕生してから、138億年が経ったと考えられています。
この「宇宙年齢」の長さを考えて、宇宙の膨大な数の恒星(太陽のような星)のもとに、同じように地球のような惑星が存在する可能性があるとすれば、宇宙人は宇宙に広く存在しているはずだ。
そして、少なくともそのうちのいくつかの種族は、地球にたどり着いていても不思議はない。
それなのに、今まで宇宙の文明との接触の証拠が全くないということは矛盾したことではないか?
これは、1954年に他界したイタリア・ローマの物理学者エンリコ・フェルミによる「フェルミのパラドックス」という考え方です。
この疑問には、様々な議論や回答がなされてきました。
例えば、次のような回答がありますが、あなたにはどれが一番しっくりくるでしょうか?
フェルミのパラドックスへの回答
【宇宙人は既に地球にいる】という説
宇宙人は存在していて、地球に潜伏しているか、地球の生命に「擬態」して正体を隠している。
(だから、いることに気づかない)
宇宙人は、「ケイ素生物」や「意識生命体」など、地球人が「宇宙人」として認識できない形態の存在なのである。
(だから、いることに気づかない)
宇宙人は、別次元(例:五次元)に存在するため、地球人には認識できない。
※どこか、映画「メン・イン・ブラック」のような世界ですよね。
【宇宙人は最近やって来ていない】という説
宇宙人は過去に地球に来訪したが、最近は来訪していない。
過去に来訪していて、遺跡などに、その痕跡が残されている。
(古代の遺跡などに証拠がある)
【宇宙人は何らかの理由でまだやって来ていない】という説
知的生命体は、高度に発達すると異星の文明との接触を好まなくなる。
(だから地球に来ていない)
「地球上に起きる混乱を避ける」などの目的で、あえて目立った接触を行わない。
(だから地球に来ていない)
宇宙人による宇宙探査が行なわれているとしても、それははるか遠くで行っているため、「光速の壁」の問題に突き当たってまだ地球には達していない。
【宇宙人には恒星間空間に進出する技術がまだない】という説
宇宙人は、「恒星間空間に進出してさらに地球に辿り着くための技術上の問題」を突破できていない。
(だから地球に来ていない)
【そもそも宇宙人はいない】という説
地球以外に生命が発生する確率は、ゼロではないが、今のところ地球の生命が宇宙で「一番目に発生した生命」であり、二番目の生命はまだ登場していない。
あるいは、二番目の生命が、現在の地球の文明レベルよりも低い。
(だから地球に来ていない)
ごく一部ですが、「フェルミのパラドックス」に対してこういった回答・仮説があります。
あなたが納得できる仮説があったでしょうか?
どの仮説が正しかったのか
フェルミのパラドックスへの回答は、未知のものに対してあらゆる可能性を探ろうとしていて、どれも興味深いです。
知らないもの、未知のものを頭ごなしに判断したり否定せず、そして自分の常識にとらわれず、想像の羽を広げるのは意味のあることですよね。
そしていつか、どの仮説が正しかったのか、あるいは近かったのかが、証明される日が来るのでしょうか。
我々が生きている間にその日が来てほしいような、でも、本当に来るとなるとちょっと怖いような・・・ (〃▽〃)
願わくば、宇宙人と地球人が友好的に交流できる場面が訪れることを、祈るばかりです。
ではまた次回!
(国際宇宙航行アカデミー(IAA)の規定については、Declaration of Principles Concerning Activities Following the Detection of Extraterrestrial Intelligenceの文献から、「フェルミのパラドックス」の内容は、ウィキペディア(Wikipedia)から抜粋・引用・加工しています)
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