闇夜の吐息
タッタッタッタッ・・・
スースーハーハー・・・
スースーハーハー・・・
自分の足音と吐息だけが聞こえる。
暗い道を、ジョギング中だ。
これ以外の音と言えば
鳥の声、風の音、木々の葉っぱの擦れあう音。
目の前に月が浮かび、
夜道にポツリポツリと街灯がついている。
今は深夜?
いや、朝4:30。
夜明け前だ。
冬の早朝は、日の出が遅いために暗い。
風景のほとんどが、闇に溶けている。
たまに、自分と同じようなランナーとすれ違う。
何人かの若者が、暗い公園でスケボーをしている。
余計なものが見えない分、いろいろなことを考えられる。
昨日の出来事の整理。
今日の予定。
血が巡り、脳が活性化しているせいなのか
悩んでいた問題の答えが、走っているときにふと思い浮かぶことがある。
1,800kmの軌跡
1,800km。
これは、僕がこの1年間でジョギングで走った距離の累計です。
突如としてジョギングを始め、毎日のように走り、1年が経ちました。
1,800kmというと、どのくらいの距離なのか。
Google Mapで日本全体を表示して測ってみました。
東京から沖縄県の那覇までが、約1,500km。
東京から中国の上海までが、約1,700 km。
(地図上での単純な直線距離です)
ということは、1,800kmはだいたい「東京から上海まで」です。
長年ジョギングを続けている人から見ると、ほんのちっぽけな距離でしょう。
しかし、僕にとっては、足で走った距離として、これまでに経験したことのない途方もない距離です。
長時間のデスクワークが体力と気力を奪う
リモートワーク、テレワークが増えてきている現在、「運動不足」は多くの人の悩みかも知れません。
極度に座りっぱなし状態が続くと、人体はどうなるのか。
僕の状態からお伝えすると、
まず、体のあちこちがこってきて、著しく代謝が落ちます。
血の巡りが悪くなり、体がだるく、重くなってきます。
そして、しまいには頭がボーッとしてきます。
こんな状態だと、当然ですが作業効率は落ちます。
長時間のデスクワークは、体力と気力を奪うのです。
「長時間の座りっぱなし生活は寿命を縮める」という報告も、以前から世界的に取り上げられています。
海外では、デスクワークをしながら立ったり座ったりするための、アップダウンできるデスクがオフィスや学校で普及している、というニュースがありました。
日本はどうなのか。
僕の経験では、そのようなデスクは、他社のオフィスでも見たことがありません。
シドニー大学が、世界20カ国を対象に「平日に座っている時間」を調査したところ、最も長く座っているのが日本だったそうです。
おそらく日本人は、働きすぎで、座り過ぎなのです。
僕はというと、普段の生活の基本がデスクワークです (^^;)
正真正銘の、運動不足、座り過ぎです。
忙しくなればなるほどデスクに張り付きっぱなしになり、
ひどいときには「1日中で10mぐらいの範囲しか移動しない」という日もあります。
自宅兼オフィスなので、行き帰りの移動もないのです。
そんな生活を、何年も続けてきました。
そして、とどめはコロナ禍の「自粛生活」でした。
コロナ禍でますます外出の機会が減った僕は、まるで石のような体になり(個人の感想)、ついに体力も気力も限界に達しました。
そして、公園に飛び出しジョギングを始めたのが、1年前でした。
僕にとってのジョギングは、趣味やスポーツを楽しむという感覚よりも、最低限の健康を維持するための非常措置と言えます。
血を巡らせるため、代謝を促すため、極度の運動不足を回避するため。
つまり、健康的にマイナスの状態から少しでもプラスの状態にするため、
いや、まずゼロの状態に戻すための努力と言えるかもしれません。
僕のジョギングは、走る楽しみや爽快感は堪能していますが、もともとは決して余裕のある優雅な行動ではないのです。
「ランナー膝」は治ったのか?
前回の記事(ジョギング9か月目)では、膝が痛くなってジョギングを休みがちになったことを書きました。
いつからか左膝が痛くなり、これまでのように走れなくなってしまったのです。
激痛ではないので、頑張れば走れます。
しかし、60~90分程度のジョギングの間、軽い痛みか違和感を我慢することになります。
たまに、カクッと膝の力が抜けそうになることもあります。
足を休ませようとして、ジョギング距離を、8km~10kmから5~6km程度に落としてみました。
あるいは、1週間くらい休みを入れてみました。
でも、なかなかよくなりません。
photoAC
ネットでいろいろ調べたところ、「ランナー膝」という症状が出ていました。
「ランナー膝」とは、走ることで負荷がかかったり、不具合が出たりする膝のことです。
過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足、ウォームアップ不足、他、多くの要因が原因として考えられているようです。
果たして、「ランナー膝」になってしまったのか?
これは、いったいどうしたものだろう・・・
ここまで習慣になってしまったジョギングを、やめたくない。
一番心配なのは、休みを入れているうちに体力が落ちてしまったり、せっかく活性化した心肺機能が落ちてしまったらどうしよう、ということでした。
また、走り始める前の状態に戻ってしまうのではないか・・・。
ここはやはり、専門家に相談するしかない。
僕は、何度か通ったことのある、信頼できる整形外科医を訪ねました。
整形外科医の意見
その整形外科は、運動時の関節の痛みなどで何度か相談に行ったことがあるところです。
ふだん空手などをしているスポーツマンの先生で、運動時の体の問題に詳しいのです。
レントゲンを撮ったところ、異常なし。
考えられるのは、年齢的な関節周辺の不具合や潤滑の悪さのようです。
しかし、これは特別なことではないとのこと。
年齢的に40代からあり得ることで、僕は50代です。
先生は言いました。
「もしかしたら、ジョギング中に、足運びがずれてしまったことがきっかけなのかもしれませんね。
自分で気付かないぐらいの、段差やアスファルトの上での微妙な足の負担が、痛みにつながっているのかもしれません。
これまでのジョギングによる疲労の蓄積というよりも、その時には気付かないほど小さな何かのきっかけが、あったのだと思います」
そして、先生はこう言ってくれたのです。
「(ジョギングは)せっかく付いた良い習慣なので、
あまり慎重になりすぎず、できるだけ続けるのがいいと思います。
自分で痛みを感じない程度に続けるので、良いと思います」
この言葉には、とても勇気づけられました。
1週間限定の痛み止めの飲み薬と、塗り薬を出してもらいました。
この飲み薬が、効いたのです。
スッキリと痛みが消えました。
しかし、ちょっと走るとまた違和感が蘇ってきます。
そしてまた先生を訪ね、処方薬を飲み、また走ってみる。
2度繰り返すと、次第に痛みは小さくなっていきました。
今もまだ、多少の違和感がありますが、ジョギングを続けています。
以前の通りに、ほぼ毎日走れるようになりました。
8~10kmを、走っています。
当たり前のように走れる。
当たり前のように健康を感じられる。
この感覚・認識は、ジョギングを始めてから改めて得た、大きな財産です。
もう「三日坊主」は通用しない
地道にコツコツ続けるのが嫌いな、怠け者で三日坊主の僕が、
1年間、ほぼ毎日ジョギングをしている。
これは、全くもって信じがたい現象です(笑)
自分でも驚きです。
そして、同時に思いました。
1年間続けてこれたからには、もう「三日坊主」という言葉は通用しないな、と。
「三日坊主だから」と言って、すぐに諦めることはできない。
「三日坊主だから」と言って、簡単に挫折したりできない。
別に、さぼっても誰かが見ているわけではありません。
やめてしまっても、誰も困らないし、迷惑もかかりません。
でも、もし意味もなく継続を放棄してしまったら、
きっと自分の中で居心地が悪いだろうと思います。
自分に対して申し訳ないだろう、と思うのです。
線ではなく点の連続
1年間ジョギングしてきて思ったのは、
継続とは「線」ではなく「点の連続」だということです。
「惰性でダラダラ」した状態では、僕は1時間も走れません。
そもそも、僕にそんな大層な体力はありません (^^;)
「何となく」では、続かないのです。
朝、完全に目覚める前に、
「ああ、今日は休んで寝坊しようかな・・・」
「ちょっと足が疲れているから、しばらく休んでもいいかな・・・」
そう思うことは、決して少なくありません。
きっとこういうことは、誰でも同じだと思います。
でも、試しにエイっと起きてみる。
どうしてもしんどかったら、今日は走るのはやめて仕事に切り替えよう。
でも、起きたらやはり、ウェアを着て準備運動をしてしまうのです。
今度は、外に出てみて、それでも嫌だったら中止にしよう。
そして外に出ると、「いつもの空気」が心地よいのです。
「いつもの時間、いつもの場所、いつもの空気に、戻ってきた」
そう感じます。
きっと、日々重ねてきた「1日の連続」が体に染み付いているのでしょう。
そして、今日も試しに走ってみる。
試しに頑張ってみる。
明日はわからないけど、まず今日やってみる。
そして、終わると必ず、100%、「走ってよかった」と思うのです。
それの連続のような気がします。
僕がジョギングを始めたとき、3か月目、6か月目、9か月目の様子はこちらです。
それぞれの時期に、それぞれのドラマがあります。
是非ご覧ください!
ではまた!
この記事が面白かったり役立った場合には、スターやブックマークをお願いします!